「でも大学に合格してよかったねぇ。周りの人とかみんなCongraturations!って言ったでしょう。親は喜んだでしょう。家どこにあるの?」
「あー。長野の松本です。」
ここでなぜか老婆は残念そうな顔をする。松本が分からなかったのだろうか?そうだとしたらよくないなぁ。それとも松本が遠いだろうからか?それとも...
Kが周りを見るとたくさんいた友達は周りから消えていた。
Kは老婆と二人きりになってしまったのだ。
老婆はさらに続ける。
「どこのstationまで行くの?」
「あ、あー、浜田山です。」
「浜田山?家ってどこにあるの?」
「え、えーと、下高井戸です。杉並区の....」
「でも下高井戸ってKeio Lineじゃない?」
「でも僕のうちは5丁目にあるからその駅から遠いんですよ。」
後で考えると、個人情報の流出も甚だしいような会話を続ける老婆とK。
まだ電車は来ないのか。
kは心からはやく電車が早く来ることを願った。
しかし
ここまでだったら老婆はまだ奇妙な老婆というだけで終わっただろう。
次の老婆の一言にKは氷ついた。
「あなたone thousand yenかfive hundred yen持ってない?」
こ、この老婆何を言ってくるのだ。まさか。
ここは持っていないと答えるべきだろうか?
いやそうするべきだろう。
でもそんな嘘はバレバレではないのか?うそは泥棒の始まりだって言うし。
ここは本当のことを言ってみよう。
Kは持っていると答えた。
すると老婆は
(自分の腕をまくりながら)「今日東大の病院で点滴打ってもらったの。ほら。」
(今考えるとこんな時間に病院が開いてるはずがないと突っ込めそうだが)
「で、今日これからChuo Lineに乗ってそれから○○○までtaxiでかえるんだよ。それでそこまでone thousand円くらいかかるって訳。」
そう。老婆はあからさまには言わないが、明らかにKから金をかすめ取ろうとしていたのだ。目の前には点滴を打たなければならないような小さな老婆。ここで断るのは当然と思われたがやはり心が痛む。で、でも自分の心の弱さになんか負けるもんか!
「む、むりです」
心がちくりと痛むのに耐えながらなんとかその場から立ち去ろうとするK。
すると老婆は
「あなた持っているでしょう。five hundred yenでいい。いやthree hundred yenでいいから。」
この老婆、一度かかりそうになった魚を逃がすまいと必死に食い下がる。Kは最後の力を振り絞って
「無理です,無理です,いや無理です...。」
Kはなんとかその場から立ち去ることに成功した。
Kに逃げられた老婆はなぜかその場から軽やかなステップを踏みながらその場を去っていった。
全く意味が分からない。
しかしここで金を渡していたらその次には一体何が待っていたのだろうか?
お礼?
更なるせびり?
それとも...。
これはつい最近本当にあった話である。
これは私からの忠告でもある。
次にこのこまバアさんが話しかけるのは、
物や金を奪おうとするのは、
あなたかもしれない。
自分って文才ないなぁ。
怖くないって突っ込まないで!!